2018/12/15

アマゾンが仕掛けた新しい店舗 「Amazon 4-star」

前回紹介した、キュレートされた品揃え店舗の極め付けともいえる店舗を、アマゾンがニューヨーク・ソーホーとサンフランシスコ・バークレー、コロラドに、今秋オープンさせた。店舗名は「Amazon 4-star」。同店舗は、アマゾンのウェブサイトで評価が4つ星以上の商品や、話題の商品、ベストセラー本などを揃えて販売するリアル店舗で、商品カテゴリーとしては、電化製品、キッチングッズ、玩具、本、ゲーム、文具、雑貨類などで、店舗に並べられた商品の評価は平均4.4星以上、180万人以上の5星評価を獲得た選りすぐりとのこと。さらに、売り場には、アマゾンのウェブサイトで顧客が“欲しいものリスト“に挙げてきている商品を集めた“Most-Wished-For(最も欲しいモノ)”棚や、NYのお土産にぴったりの商品を集めた”Trending Around NYC(ニューヨークのトレンド)”棚もある。また、商品それぞれに、顧客からのレビューカードが添えられていたり、デジタルで表示される価格は、プライム会員向けと通常リスト価格の両方が表示されていたり、とアマゾンらしい買い物環境を整えている。

 

アマゾンのリアル店舗への取り組みは、Amazon Booksに始まり、キャッシュレスのAmazon Go,ショッピングモールなどに期間限定で展開するAmazon Pop-Ups、そして、2017年に買収したスーパーマーケットのWhole Foodsがあり、Amazon 4-starは、これらに続く新しいコンセプトショップと言える。店舗数では、Amazon Booksが17店舗、Amazon 4-starが3店舗、Amazon 4-starはおよそ90か所ある。買収したWhole Foodsは460店舗で、同店での買い物の際、レジでアマゾンプライムのモバイルアプリにあるプライム会員専用の割引QRコードを提示すると割引価格で商品が購入できるサービスもおこなっている。

オムニチャンネル、という言葉が知られる今、アマゾンは、オンラインとオフラインのどちらであっても、同様の顧客体験ができる環境を整えつつあるところで、いくつかのコンセプト店舗を試しながら、ベストなチャネル構成を模索している、という段階のよう。さて次はどんな店舗がお目見えするのか? アマゾンの進化はまだまだ続いていく・・・。

Eiko Fujiwara:マーケティングコミュニケーション担当

常に最先端のマーケティング戦略を実践し、世界から注目されているアメリカ。そこでいまヒットしている・話題になっている企業や店舗は、顧客獲得のために、どんなプロモーションを、どんな工夫をしているのか。また、アメリカ市場の拡大を牽引する、ミレニアル世代、そしてジェネレーションZと呼ばれるデジタル世代に受け入れられている理由をさぐり、現地からレポートします。
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