シアトルで注目のフラッグシップストア
キュレートされた品揃えの店舗には「専門家が厳選した商品を揃えている店」と、「ブランドコンセプトにとことんこだわった商品のみを揃えている店」という二つのタイプがあります。そこで今月は、その二つのタイプをそれぞれ代表する米国ワイントン州シアトルにあるアウトドア・フラッグシップストアを紹介したいと思います
MiiR
最初は、環境保護と企業理念にこだわった品揃え、がキュレート(選択)基準である「MiiR」ブランドのフラッグシップストア。同店舗では、自社のオリジナルボトル(ウォーターボトル)を販売し、オレゴン州やワシントン州を中心とした地場の樽生クラフトビールや、トランスペアレンシーと品質を追求したコーヒー「Madcap coffee」の販売を行っており、ここでの売り上げの3%を様々な社会貢献活動に寄付しています。また、地域コミュニティーへの貢献もコンセプトにしている同店舗には、地域に根差した企業が利用可能なミーティングスペース(1時間50ドル)もあり、商品を売るだけではなく、ブランドコンセプトを広く知ってもらうための、キュレート体験を提供する実店舗です
住所:シアトルのMiiRフラッグシップストア 3400 Stone Way N, Seattle, WA 98103
REI
二つめは、本社ビルそのものがブランド「REI」のフラッグシップストアとして機能するユニークな店舗です。同店舗では、自社ブランドのアウトドア商品の他、アウトドアの達人スタッフが選んだセレクトグッズやキャンピンググッズ、さらには、クライミング練習用の塔も完備していて、『アウトドア総合ショップ』といえます。また、店舗内では、ほぼ毎日アウトドアライフを楽しむためのセミナーやレッスンなども開催されています。
上記2つのフラッグシップストアの共通点は、自社商品の販売や商品訴求がメインの目的ではなく、両ブランドのコンセプトを体感してもらうためのスペースの提供、に特化している点です。オンラインショッピングによる売り上げが急成長する中、そのスペースでしか体感できない顧客エクスプリエンスの提供が顧客の来店動機付けの要となることから、今後は、モノを売るためだけの店舗は減り、ブランド体験型ストアの展開がより重要視されていくことになるでしょう。
Eiko Fujiwara:マーケティングコミュニケーション担当
常に最先端のマーケティング戦略を実践し、世界から注目されているアメリカ。そこでいまヒットしている・話題になっている企業や店舗は、顧客獲得のために、どんなプロモーションを、どんな工夫をしているのか。また、アメリカ市場の拡大を牽引する、ミレニアル世代、そしてジェネレーションZと呼ばれるデジタル世代に受け入れられている理由をさぐり、現地からレポートします。All Photo by Eiko Fujiwara
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